茅葺き屋根の施工について

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かやぶき屋根は建築業の中でも特殊な施工・仕事になります。 時には細かい図面と寸法通りにしあげますが、民家の多くは図面が有りません 。
昔からの葺き方で行うのが常識となっています。(洋建築で進化した現代の葺き方もあります)富士かやぶき建築『茅吉』では専門の職人達が昔ながらの手作業で施工いたします。
また、専用の茅場もございますので茅の仕入れから施工まで一括して弊社にお任せいただけます。
ここでは、山梨県の富士河口湖町にある、”西湖いやしの里 根場”の復元建築工事を例にご紹介します。

茅葺き屋根の施工の流れ

茅葺き屋根の解体

これまで40年間屋根の修繕は行わず、初めての改修工事です。草木が茂るほどに傷んでしまった屋根はまず解体をして屋根の下地から点検をします。10年から15年位の早期の修繕の場合は、部分補修も可能ですので、ランニングコストでも差が出ますし葺き替えまでの期間の延長ができます。虫歯と同じですね。


骨組みの確認と交換

雨漏りもあった為に屋根下地の傷みがひどく梁桁、破風板などを交換して新しく下地を作ります。3年成以上で水上げをしていない冬場に切り出された竹と檜の乾燥丸太を使い、荒縄で結びます。


軒の補強と化粧

屋根下地を組み上げた後は、軒の補強と化粧を兼ねた、よしを葺いたりやヨシズを付けたりします。主に茅が室内に落ちないことや室内からの見栄えのための施工ですが、建物によって資材は異なり、ヨシズの他、竹などが使われていることもあります。その建物に応じた資材で対応できるのが弊社の強みです。


茅葺きの始めに隅をつけます

親方が隅を付け始めるといよいよ茅葺の始まりです。屋根の時計逆回りで進みます。(時計回りは葬式回り) 


茅の荷上げ

かやぶき屋根建築は多くの材料を使います。屋根面積80坪程度であれば中束の茅3500束。荷重量も18トン以上になるでしょう。分担作業では体が消耗するばかりでなく効率も悪くなるため、荷揚げなどは全員参加です。


茅の平葺き1

荷上げされた茅を一束ごとに解して、茅一本一本が交わりの無いように真っ直ぐに並べます。そして、一番押さえの利くところで細く丈夫な竹(3年成冬刈取の竹)で針をとって行きます。このときの糸の変わりは1.6㎜の針金を用いました。 


茅の平葺き2

押し鉾竹と針金で抑えた茅を雁木(がんぎ)という道具で屋根の形状にたたいて形作ります。そして、足場丸太を乗せ足場用の縄で括りそれを足場に、鉾竹の針金を竹を踏みながら引っ張り、きつく屋根に固定します。


棟造り

平葺きが終わり棟を作ります。屋根のてっぺんで伸びた茅を編みながら次第に棟の形へと造って行きます。そして、防水シートをかけてその上へ杉皮を3層重ねていきます。最後に杉皮がしっかりと棟へ納まるように竹で押さえ完了です。


茅葺きの上に千木を乗せる

杉皮で化粧された棟の上へ、腐りずらいクリ材を加工した千木を固定します。棟に重いものを乗せるのは雨風から棟を守るためです。富士河口湖町の西湖いやしの里 根場では昔からこの工法が用いられて、千木の間には岩松が植えられていました。 この棟にも同様に芝を4層に敷きその間に数多くの岩松を植込みました。


棟の文字入れ

棟の文字は施主の希望で入れます。昔から寿、水、龍などの縁起文字を入れますが、材料が茅なのでハサミで文字を彫るように刻んでいきます。そして、遠くからわかるように墨で仕上げます。


仕上げの刈込

いよいよ仕上げに入ります。仕上がり具合が左右する刈込です。具体的な図面を持たずに茅を葺いてきましたが、軒の出などは建物の雨仕舞いを考えて出を決めます。刃物は休憩毎にこうしてそろって砥ぎます。よくいいますが「燕と屋根屋は軒で鳴く?」作業で最も気を使い、また、体力も消耗しますが、仕上げですから気を抜きません。


完成

ようやく屋根の完成です。およそ延250人、約20トンの茅を使いました。
茅吉では観光地や学校資料、古民家の茅葺き屋根の施工・補修を承っております。日本の伝統でもある茅葺き屋根やその工法を後世に伝えていくことが茅吉の役目です。

茅葺き屋根のことは
ぜひ茅吉にご相談ください

ご相談・お見積もりは無料です

日本の伝統・文化を伝えていくお手伝いができる会社です。茅葺き屋根の施工・補修のほか、雨漏り応急処置、こそくり、資材、 学校資料などお気軽にご相談ください。