茅葺き屋根の施工・補修に関してよくいただく質問をまとめたした。関連する写真も一緒に掲載しております。写真はクリックすると拡大します。
茅葺き屋根の「茅」って何ですか?
通常ススキを使用しています。その他ヨシやカリヤス、ムギなどもあります。「かる」「かりとる」事から「かや」と言うようになったとの説かあるようです。
茅場を持っている集落では茅場を「かやま」と言い、「馬草→すすき→茅」と季節によて言い方が変わります。茅吉も専用の茅場がありますので材料の仕入れから全て茅吉で行なっています。
茅はどこで採れるのですか?
かやきちの茅のほとんどは富士山麓、朝霧高原の文化財の森「茅場」で生産しています。
長さは2mから2.5m位です。朝霧高原の茅は細く、しなやかです。その為茅の本数が多くなり、密度も濃くなるようです。毎年4月に山に火を入れ、ススキは更新されていきます。火入れの後から成長したススキは12月には枯れ良質な屋根材料となります。12月中旬から3月末までベテランの茅刈人たちが選びながら茅を刈り集めます
屋根の寿命はどの位ですか?
その建物の周囲の環境にとても左右されます。屋根が木で覆われ日陰で風通し悪かったり、水辺が近く水蒸気がかぶっていたり、落ち葉が溜まりやすいなど水分が大きく関係しているようです。屋根の表面が湿っている所は壽命が短いです。
通常は15年から20年で補修をしてくサイクルがコストがかからなく長く使用することができます。マメに手入れをしていれば短時間で補修が終わるので、ランニングコストを抑えることができます。
茅葺き屋根はどのように作るの?
昔茅葺きの屋根は集落の人たちの協力で葺いていました。毎年一軒一軒の決められた茅の数量を山に刈り取りに行き、それぞれの家で保存し、年数が経った家の補修の時にそれぞれの家から茅を持ち寄り、仕事も休みその家の屋根の補修を村人総出で直していました。
現在は、茅葺きの職人の手によって補修が行われています。茅も農家などが副業で刈り取りを行っています。
しかし、屋根の補修の仕方は今も昔も変わらないです。短い茅、長い茅、半分に切った茅の穂先や根本、わら、麻ガラなどをいく重にも重ねて竹や木の枝などで屋根の下地にくくり付けます。このような作業を繰り返し行って、屋根の軒から棟に向かって葺いていきます。
茅葺きの道具を教えてください。
道具のほとんどが金物屋ホームセンターでは手に入りません。もちろん通販でも取り扱っていないでしょう。
昔から手作りです。材料はケヤキ、ヒノキ、カラマツなどです。ハサミは、屋根バサミを使います。専用のハサミなのでそれを作れる鍛冶職人さんも少なく、販売している金物屋さんも限られています。柄は自分で材料を探し仕込みます。
古い屋根の茅くずはどうするのですか?
屋根の古い茅は、再利用するものと、廃棄するものとに分けます。廃棄するものは畑の肥料として活用します。茅のたい肥を使うと野菜の色つやがとても良くなるそうです。
また、たい肥として積んでおくとカブトムシの幼虫がたくさんとれます。